湖城の窓から「豪の政権と農業」
労働党政権になって、オーストラリアの農業にネガティブな変化があるか─。そんな質問を今週複数の方からいただきました。新政権は一般には雇用の創出・補償や労働条件の改善、製造分野の活性化などを公約していますが、農業・食品界に限定してみると、アグリテックハブの設立、食品表示の明確化、業界イベントの援助などを個別の施策として公約しています。また、林業や漁業の支援も表明しました。動物福祉の観点から生体羊の輸出の禁止も公約していましたが、今週号の記事にあるように、アルバニージー首相が今任期中の廃止は行わないと言明しました。
全体的に見ると連邦政府は1980年代ころから、農業界に対し規制緩和を進めています。それまでの補助金や法定販売制度と規制が徐々に廃止され、政権が変わっても自由化の方針に変化はありませんでした。90年代には競争の促進が政策として採用され、小麦なども政府による関与はなくなり、一部残っていた輸出独占権もすでに廃止され、自由化は完了しています。農業に対する政府の役割は、以前の管理し規制するものから、現在はその生産や販売環境を整えるものに変化したと言えるでしょう。
こうした経緯や現実的に自由市場の環境がほぼ整っていることから、9年ぶりの政権交代で概観としては農業界に大きな影響があるとは考えにくいのではないでしょうか。
ただ、気候変動施策に関しては強化を謳っていることもあり、要注目かもしれません。(編集長)
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