オーストラリア産の雑豆を日本に 「日本国内の需要を掘り起こす」
公益財団法人日本豆類協会の視察団が今月10日から18日まで、オーストラリアでの雑豆の生産状況や市場調査を目的に各州を訪問した。同協会の視察団員らは「ヒヨコマメやレンズ豆などの雑豆の利用が日本では限られているため、雑豆の幅広い調理法をプロモーションして日本の市場を開拓し、オーストラリアからの輸入を促進したい」と、今後の意気込みを語った。【ウェルス編集部】
日本豆類協会の視察団は約1週間の日程で、ニューサウスウェールズ州、ビクトリア(VIC)州、南オーストラリア州の政府や業界団体による説明会などへ出席し、両国の今後の雑豆貿易の展望について意見交換を行った。さらに、VIC州ホーシャム(Horsham)など各州地方部の生産現場も訪問し、オーストラリアにおける雑豆の生産、流通、消費、輸出の状況を調査した。同3州に加え、西オーストラリア州も国内の主要な生産地だ。
同視察団の杉原康夫団長は、日本とオーストラリアの雑豆貿易について「取引量に関する認識に差がある。日本からは質にこだわった雑豆を少量輸入したいと考えているが、オーストラリア側は大量に生産したものを何百トン単位で輸出したいと考えている」と、現在の課題を指摘した。
オーストラリアの豆類業界団体、パルス・オーストラリアによると、オーストラリアの2015年の雑豆の生産量は220万トンで、毎年全体の収穫量の約60%が輸出に回されている。輸出先の上位5カ国は、インド、バングラデシュ、エジプト、パキスタン、スリランカだが、インドは今月、ヒヨコマメに課している輸入関税を40%に引き上げたため、オーストラリアの生産者の間に不安が広がっている。
日本の雑豆市場について、同協会の飯田道夫常務理事は「開拓の可能性を秘めている」とし、「日本以外の国や地域では、ヒヨコマメなどの雑豆をサラダなど幅広い料理に活用しているが、日本ではこのような食べ方はあまり普及していない。日本の豆業界は、将来の雑豆輸入拡大のきっかけとすべく、日本国内での雑豆需要を伸ばそうとプロモーションに尽力している」と、現在の業界の戦略を語った。
日本市場では、スナック菓子などに加工されたソラマメの消費は近年伸びているとされ、同協会会員の豆菓子メーカー、松川屋の山田純社長は「小豆をはじめとする雑豆は従来和菓子に用いられることが多かったが、オーストラリアから輸入している乾燥ソラマメを原料にしたわが社のスナック菓子は2010年に発売して以来、日本国内で徐々に売り上げを伸ばしている」と語った。今回の訪問時に持参した同スナック菓子は、オーストラリアの関係者からも「クリスピーな食感がよい」と好評だったという。
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