オセアニア農業の歩み「日本なしで語れない魚市場」

今週のトップ記事では、新たに開業したシドニー・フィッシュ・マーケットを取り上げました。取材を通じて最も印象深かったのは、旧市場で40年にわたり営業を続けてきた1985年創業の老舗鮮魚店「クラウディオ・シーフード」のオーナー・コスティ氏の話です。

同店は、シドニーにおける刺身用鮮魚の先駆的な供給業者の1つであり、日本食文化との深い結びつきを築いてきました。創業者である父親は当初、日本人料理人が求める高い水準に対し、「獲れたての新鮮な魚がなぜ刺身に適さないのか」疑問を抱いたと言います。その後日本人料理人から、当時のオーストラリアではほとんど知られていなかった活け締めや血抜きなど魚の扱いに関する高度な技術と品質基準を学んだそうです。コスティ氏は、「日本人のおかげで、魚を本当に扱うということがどういうことかを学べた」と話しました。寿司店などとの信頼関係は現在も維持されているそうです。

2019年には、元築地市場場長・森本博行氏が旧市場を訪問し、温度管理や保冷手法に関する実務的な助言を提供しました。「品質管理にはさらなる向上の余地がある」との指摘は、新市場において導入された温度管理システムの方向性とも軌を一にしています。

今回の取材を通じて、日本の食文化と技術が海外の現場においても着実に根づき、影響力を持ち続けていることを改めて実感しました。(本田歩)

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ウェルス編集部

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