オセアニア農業の歩み「バター高騰に揺れるNZ」
バター価格の高騰が、現在ニュージーランド(NZ)の消費者にとって深刻な生活問題となっています。消費者の不満の矛先は、乳業最大手フォンテラや、小売価格を決定する小売大手に向けられています。フォンテラは輸出市場の価格主導性を強調し、コールズは価格抑制の努力をアピールしています。
NZ政府に対しては、生活必需品にかかる15%の消費税(GST)を見直すべきだとの声が上がっています。オーストラリアでは10%のGSTが課されていますが、肉や魚、野菜、乳製品、パンなどの食品は非課税です。日本や英国などでも食料品への軽減税率やゼロ税率が導入されています。
一方で、NZの酪農業は輸出の25%を担い、5万5,000人の雇用を支える国家経済の柱です。農業団体「フェデレーテッド・ファーマーズ(FF)」が実施した直近の農業信頼感調査では、好調な輸出市場を背景に、酪農家の81%が黒字と答えています。酪農業の競争力を損なえば地方経済全体に悪影響が及びかねません。価格の抑制と産業の持続性を両立するために、政府は難しい舵取りを迫られています。(本田歩)
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