湖城の窓から「FAIR GO」

オーストラリアの酪農業界では、2020年に強制力を持つ行動規範が施行されました。導入の目的は酪農家と乳加工業者の力関係の不均衡を是正することで、酪農家に支払われる生産者乳価の公表や、納入契約の一方的な変更の禁止などが規定されました。

今年で4年目を迎えますが、その間の生産者乳価は右肩上がりです。牛乳の生産量が減少傾向にあり需要が堅実なことから競争が高まり、経済原則通りの値動きとなっています。牛乳の小売価格は上昇しましたが、公正な市場環境が整備されたと証しと言えるでしょう。

さて、食品小売業界の行動規範の見直しですが、その目的も公平性を確保することです。食品価格の高騰による消費者の不満が一つの契機でしたが、この見直しは今後の永続的な値下がりを目標にしている訳ではありません。牛乳のように供給が減少すれば価格が上昇することもあり得るでしょう。

養鶏業界でも、生産者と加工会社の力関係の不均衡を正す動きが出ています。

大手スーパーを巡っては、インフレに便乗した値上げで業績が伸びたとの疑惑があります。こちらはオーストラリア自由競争・消費者委員会(ACCC)が価格決定方法などについて調査を進めています。

公平性重視の観点は、オーストラリア社会が好むフェアゴー(FAIR GO)の精神があるように思えます。(編集長)

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