湖城の窓から「事故で問題顕在化」

オーストラリアからインドネシアに向け出荷された生体牛が貨物船内で死亡した件は、先月26日の発生後、解決が長引いています。

シドニーモーニングヘラルド(SMH)によると、死亡した牛の頭数は151頭に上りますが、インドネシア政府は当初、死亡した牛は8頭との報告を受けたとしています。同国政府はオーストラリアに対し対応について説明を求めているとみられます。

そもそも連邦は、死亡した牛の頭数を発表していません。SMHが知り得た情報は、ほとんどがインドネシア当局からで、同紙は「連邦政府は基本的な情報さえ開示しない」と批判しています。

両国間の生体牛貿易は数億豪ドル規模に上りますが、センシティブな状態です。古くはギラード労働党政権が2011年に禁輸を強行しました。反発した畜産農家が牛の殺処分も辞さない姿勢を見せ政治問題化し、わずか4週間後に解除されましたが、騒動はインドネシア側の不信を招きました。直近でも数年にわたる豪産牛の高値でインドネシアは代替供給先を模索せざるを得ない状況となり、昨年には豪産牛にランピースキン病が確認され、同国は輸入を停止しました。今回もインドネシアは北部準州の施設からの輸入を停止中ですが、これは国内メディアに先にリークされ、政府の対応は後手に回りました。政府発表は先月29日を最後に止まっています。安定供給先としてのオーストラリアに疑問符が付き、外交問題に発展する可能性もあるとの見方も出ています。(編集長)

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