第184回  大使の役割とは

2000年代半ばに、当時筆者が駐在していた香港で、日本の内閣安全保障室長を務めた故・佐々淳行氏の大規模な講演会があったのを覚えている。その質疑応答で、佐々氏は「外国の大使に赴任した日本の外交官は、国益を省みず、赴任国にへつらう言動を取るようになる。一体どこの国の大使なのか」と話し、中国を擁護する発言をした香港の日本人領事をたしなめ、日本の外交姿勢を戒めた。約20年も前のこの講演会を思い出したのは、最近オーストラリアの新聞で、山上信吾・日本国大使に関する記事が紙面をにぎわせたためだ。

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