オセアニア農業の歩み「放置されるブドウ」

今週のトップで、オーストラリア産とニュージーランド(NZ)産のワイン輸出について取り上げました。オーストラリアとは対照的にNZの輸出額は増加した一方で、産地では「収穫しない」という異例の調整が行われました。

NZでは2024年を除き、22年、23年、25年と豊作が続き、25年は国内の業界関係者が「一世代に一度」と表現するほどの収穫量でした。一方で、コロナウイルス流行中に増加した家庭内消費はすでに一巡し、世界的にもアルコール消費は減少局面に入っています。ワイナリー側は、これ以上ワインを造っても売り先がないという現実に直面したのです。

その結果、NZのワイナリーは生産者からのブドウの受け入れ量を厳しく制限し、とりわけ主力の白ワイン用ブドウ品種の「ソーヴィニヨン・ブラン」では1ヘクタール当たり12トン前後に上限を設定しました。生産者の中には、農場の半分で今季全く収穫しない決断を下した例もあります。

生産者にとって「収穫しない」という選択は、コスト削減にはなりません。収入が減少する中でも、剪定や防除など最低限の管理は必要となります。アジア市場の成長に期待が集まる一方で、供給の現場では厳しい選択が迫られています。(本田歩)

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ウェルス編集部

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