オセアニア農業の歩み「厳しさ増すワイン業界」
先週の紙面ではワイン業界の苦境を紹介しましたが、今週公表されたオーストラリア農業資源経済・科学局(ABARES)の最新レポートを見ると、その厳しさは来年度にかけて一段と深まることが分かります。
ワイン用ブドウの国内生産量は140万トンとなり、前年度比11%減となる見込みです。過去10年平均を10%下回る水準に落ち込むとされています。また、昨年度のワイン輸出額は24億8,000万豪ドル(1豪ドル=約101円)でしたが、今年度は22億豪ドルまで縮小する予測が示されています。
こうした背景には世界的なワイン消費の低迷があり、国内最大手のトレジャリー・ワイン・エステーツ(TWE)は、米国事業で6億8,700万豪ドル(1豪ドル=約101円)の減損を計上すると発表しました。ここで期待されるのが中国市場への輸出回復で、ABARESは、特にプレミアムワインの需要が戻りつつあると指摘しています。しかし、TWEの中国事業は、主力の高級ブランド「ペンフォールズ」を中心に大きく落ち込んでいます。
今週号では、オーストラリアで2位のワイン大手ヴィナキーが、健康志向の高い若年層の取り込みに向けた戦略を強化していることも取り上げました。市場環境の変化に業界がどう応えていくのか、注目が高まっています。(本田歩)
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