湖城の窓から「フードロス」

人口513万人のニュージーランド(NZ)は、4,000万人を養うに足る食糧を生産していると言われます。十分な食糧があるはずなのに、2021/22年には頻繁に、あるいは時々食べるものがない子供は12.5%に上るとされています。食品の価格も昨年1年間で11%上昇しました。

その理由として高い輸出割合や流通の混乱などが挙げられますが、フードロスも問題視されています。フードロスとは食べられるのに廃棄される食品のことで、サプライチェーンの各段階で発生します。NZでは消費者が購入したのに捨てられる食品は年間8億7,200万NZドル(1NZドル=約89円)分に上り、ウェリントンの住民が1年間に食べる量に匹敵する12万トンが廃棄されるそうです。

この問題に各地で消費者が立ち上がり、109カ所の拠点を結ぶアオテアロア・フードレスキュー・アライアンス(AFRA)が結成されました。AFRAは必要とする人に余剰食品を届ける活動のほか、政府に対し、全国の食品救済団体に資金支援すること、地域主体の食品維持計画を策定すること、そしてサプライチェーンの各段階で、廃棄食品の報告の義務化を求めています。

こうした動きを受けNZ政府は先週、燃料税の減額や交通運賃支援などを終了する中で、フードバンクへ600万NZドルの支援を発表しました。5月の予算案における2,400万NZドルの拠出に続き、2カ月連続の動きで政府が注力していることが見てとれます。(編集長)

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