地声人語・湖城の窓から- vol.475
【地声人語】
その日、アクション映画などめったに見ない私は、理由もなく映画「007」シリーズの一作を見ていました。その数時間後に、初代ジェームズ・ボンド役で知られる名優ショーン・コネリー氏が90 歳で逝去したとの速報が。奇妙な偶然に、大スターは亡くなる直前にもそのオーラで世界中の人々の深層心理に影響を与えていたのかと思えてなりません。(岩下)
その日、ドラッグストアなどめったに入らない私は、理由もなく市内のドラッグストアに入って棚にあった日本のある加工食品を眺めていました。その数時間後に、我が社に、まさにその加工食品に関するオーストラリア市場調査依頼の連絡がありました。奇妙な偶然に、あの加工食品に事前に呼ばれたように思えてなりません。(西嵐)
その日、野菜などめったに食べない私は、理由もなくチンゲン菜の入ったあんかけを食べていました。その数時間後に、パクチョイという別名でも知られるチンゲン菜を、オーストラリアが禁輸し中国が大騒ぎとの速報が。奇妙な偶然は、街角のフードコートで定食を食べた一市民の他愛もない妄想と思えてなりません。(尋助)
【湖城の窓から】
「弊誌注目のアグリテック、拡大中」
最近特に注目を集めているアグリテック。弊誌でも4月から特集を組んでいますが、第2回でインタビューしたジ・イールド(The Yield)が成長を加速しています。ワイン大手トレジャリー・ワイン・エステーツ(TWE)のすべてのワイナリーへの導入も決まりました。
ジ・イールドのシステムは、農業最大の不確定要素である天候を分析し、農作業の最適化を助言します。TWEの例では最大のブドウ果汁が採れる収穫の時期まで分かるそうです。その背景にあるのはさまざまなセンサーで取得するデータ。気温や気圧はもちろん、葉の濡れ状態や土壌電気伝導率、光合成有効放射量など多岐にわたる情報を取得・分析します。TWEとは正式契約前の2年間で実証実験も行っていますが、その間に分析精度を整えたのでしょう。従来の人間による予想のエラー確率は30%のところ、同社のシステムで劇的に下がったそう。中国との貿易紛争に揺れるTWEにとって、企業の体力増強の支えになると判断された訳です。
なお、ジ・イールドを支える大きな投資をしたのはヤマハ発動機の関連法人ヤマハ・モーター・ベンチャーズ。日本企業が関連した事業が広がるのは嬉しいものです。【ウェルス編集長】
(ジ・イールドのインタビュー記事 https://wealth.nna-au.com/cms/feature/103988/)
【ウェルスのトリビア ~今週の紙面から~】
南オーストラリア州で、遺伝子組み換え(GM)作物の禁止措置を継続したいと申請した自治体は、いくつあったでしょうか?(答えは記事中に)