オセアニア農業の歩み「南半球で広がる“多国籍の食卓“」

今週は、オーストラリアでイスラム教徒人口が100万人規模へ拡大し、ハラル認証肉の需要が急伸している動きを紹介しました。オーストラリアでは海外出生者が人口の3割を超え、食の供給網そのものが多文化化に合わせて再編されつつあります。こうした変化は隣国ニュージーランド(NZ)でも同様で、2048年にはアジア系人口が全体の3割を超えるとの推計が示されています。

その潮流を象徴するのが、オーストラリアとNZの双方に拠点を持つ食品原料大手ラングドンの拡張計画です。スパイス、ハーブ、野菜パウダーなどの需要が高まるなか、同社はNZで1,500万NZドル(1NZ=約90円)超を投じ、倉庫容量を倍増させます。背景には若い世代の食習慣の急速な変化があります。

同社は、複数文化を持つ家庭で育った若者が自らのルーツを掛け合わせた料理を求める動きに加え、交流サイト(SNS)で激辛料理や多国籍レシピが人気を集めていることが要因だとしています。「Z世代(1998ー2006年生まれ)は、家庭ではなくオンラインで新しい味に出会う初めての世代」だと言います。

移民増とデジタル文化が交錯する南半球で進む、食の多様化。飲食業や関連産業をどのように変えていくのか、注視していきたいです。(本田歩)

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ウェルス編集部

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