ことの葉「気さくな料理店」

2年ぶりに日本に帰国すると、地元も様変わりしていた。お洒落な飲食店が多数オープンしており、その中でも評判の良い1軒に行った。和食の創作料理店で、食材は全国各地から一級品を調達しているという。

一枚板のカウンター席に着くと、厨房にはオーナーらしきシェフ。若いウェイターの教育も行き届いている。彼はメニューを持ってくると、聞きもしないのに「僕の個人的なお勧めは……」と来る。残念ながら食指に触れるものは一つもなく、別の物を頼む。各地から取り寄せているという日本酒も、1合徳利を頼むと何故か一升瓶もカウンターに置く。「お代わり自由ですか?」と聞くと、「いえ、ラベルにご興味があるかと思いまして」と。

気さくなコミュニケーションもいいが、押しつけがましいとかえって居心地が悪い。料理は素晴らしく、また来たいと思ったが、店からは面倒な客と思われたはずだ。(尋助)

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ウェルス編集部

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