湖城の窓から「どちらが正しい?」
オーストラリア連邦政府と西オーストラリア(WA)州政府が激しい論争を繰り広げてきた生体羊の海上輸出禁止問題。WA州は国内の羊産業の衰退につながると主張した一方、連邦政府は羊肉加工を国内で行い付加価値を付けて輸出することで、国内に利益を落とすと説明していました。
しかし、今週掲載した食肉大手ミネルバ・フーズが食肉加工処理場の閉鎖を決めたことは、連邦政府の見解に疑義を投じたものとみられます。
ミネルバがWA州で食肉加工場の運営を始めたのは2021年。当時、最終的に100万頭の羊の処理ができるよう拡張を計画しているとしていました。しかしわずか3年後に閉鎖の決断。業界アナリストは「禁輸により生産者が業界から撤退し、ミネルバのような食肉加工企業が家畜を入手することが困難になっている」と述べています。
一方、アルバニージー首相は「閉鎖は商業的な決断」「(閉鎖したのは)加工場であり、輸出施設ではない」と意に介す様子はありません。
上場農業サービス会社エルダーズは、「業界は(加工場閉鎖を)予想していたものの、時期は予想よりも早い」と指摘。来年以降も羊の減少は続くとの予想を示し、大規模な食肉処理場にとっても長期的な展望が見通しにくいとしています。
国内の羊頭数は現在、過去2年間で3分の1に縮小したと推測されています。今のところWA州の見通しの方が現実的だとみられているようです。(編集長)
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