ことの葉「本音」
思春期後半の息子はいつも不機嫌だ。つられてこちらも腹が立ちそうな時は、接触を避けるに越したことはない。やむを得ず彼の携帯に電話する場合は声を半オクターブ上げ、朗らかな雰囲気を出す。だが親の芝居を見透かしたように、ことさら「あぁ」とかしか言わない。
子の機嫌をうかがう情けない話だが、話しかけて「で?」なんて返された日にはダメージが大きい。叱りつけてその日1日気分が悪くなるよりも、「これが彼のノーマル」と思うようにしている。
そんなわが家だが、共働きのため夕食の準備は専ら息子の役目だ。機嫌を損なわぬよう、高めの声で「おいしいね」なんて言っても当然無言。聞こえなかったか? と繰り返しても、無表情のままうなづくだけ。
だがある日、彼の料理がとても美味で思わず「お、うまい」と地声でつぶやいた時、彼の片頬が上がりニヤリと笑ったのを父親は見逃していない。(尋助)
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