湖城の窓から「どっちが正しい?」
オーストラリアの農業界で、ある予測をめぐり2つの有力組織が揺れています。予測とは今後の牛群数(牛の数)の見通しで、組織とは食肉家畜生産者事業団(MLA)と農業資源経済・科学局(ABARES)です。
問題となっているのは両者の予測に300万頭もの相違があることです。両組織とも定評のある農業関連組織ですが、互いに自身の正当性を主張し相手を批判しています。ABARESは「MLAは政府統計局のデータを使っていない」と主張し、MLAは「ABARES(と統計局)は小規模の畜産会社をカウントしていない」と指摘しています。
この相違に困惑しているのが当の畜産業界で、大手のコンソリデーテッド・パストラル・カンパニー(CPC)は「世界有数のトレーサビリティー(追跡可能性)と家畜識別システムを持つわれわれは、顧客を含むすべての関係者に対し、国内に何頭の牛がいるか正確に把握していると示す義務がある」としています。
ABARESの代表者は、統計局のデータに自信があるとする一方で、「実際の牛群数は両者の間のどこかだろう」といささか無責任な発言をし、今後精度を上げるとしています。
さて、今週は酪農の業界予想記事も載せています。業界団体デアリーオーストラリアは前向きな見通しを示す一方、ABARESはニュートラルな見方です。酪農家と乳牛が長期的に減っていることを考えると、楽観的な見方を示していないABARESに、より正当性があるように思えます。(編集長)
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