湖城の窓から「干ばつで牛肉市場どうなる」

北半球の干ばつが世界の農産物市場に影響を与えています。米国では現在、干ばつを背景に牛群の減少が継続していると報じられています。

2018年頃から米国では屠畜が増加していましたが、昨年には牛群そのものが縮小し屠畜も減り、供給不足分を補う形となったオーストラリアが輸出を増やしました。

オーストラリア食肉家畜生産者事業団(MLA)のアナリストによると、米農務省(USDA)は最近の牛群規模を発表していないものの、過去数十年間の最低水準に落ち込んでいるとみられます。屠畜に占める雌牛の割合が50%を上回っていることから、回復には数年かかるという見方もあります。

一方で、直近では米国の24年の牛肉生産量は3%減との予想で、これまでの6%減から上方修正されました。最近は米国内の供給がだぶつき気味で、昨秋ごろから卸値が軟調に転じているとの報道もあります。ただしこのことは、高インフレによる需要減退によるものとの見方もあり、牛群再構築に転じたと見るのは早計のようです。

MLAのアナリストは昨年後半に、米国は24年に牛群再構築の段階に入るとの予想を示しています。この段階では、オーストラリアは数年前の畜牛価格が過去最高だった時に失った市場を回復できる好機ともされています。

失地回復の基盤となるオーストラリアの24年の牛肉の生産量についてUSDAは、235万トンで8%増と大幅な増加を予想しています。注目のMLAの予想は今月下旬にも発表される予定です。(編集長)

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