湖城の窓から「気候変動を歓迎する?」
洋の東西を問わず、農業に雨が重要なのは周知の事実です。オーストラリアでは今後、エルニーニョ現象で乾燥が厳しくなるとの予報により、穀物は生産量の減少が予想されています。また畜産業界では、飼料が減少し牧草の生育も不調になるとの予想から牛を手放す生産者が増加し、畜牛価格はここ数年で類を見ない水準にまで下落しています。
一方、ニュージーランド(NZ)では必ずしも悲観的でない農業分野もあるようです。同国の国立水圏大気研究所(NIWA)は先月末、公式にエルニーニョ現象の発生を宣言しましたが、これを歓迎したのが青果業界です。
NZの南北両島に生産者を抱える青果サプライヤー、リーダーブランド(Leaderbrand)は、「乾燥した気候になるのを楽しみにしている」と表明しました。NZはこれまで、大雨、サイクロン、洪水という厳しい条件が続き、同社は「青果の栽培が最も困難な1年だった」とし、「乾燥は洪水よりもはるかに管理が容易」としました。
乾燥した気候では、水へのアクセスが鍵となりますが、これまでの大雨で地下水が蓄えられる帯水層は全国で満杯な状態です。高い気温も青果の成長を早め、供給を増やし、価格は下がると予想されています。
実際にNZの今年9月の気温は、観測史上で最も暑い9月となりました。すでに干ばつが始まったとの見方も出ている状況です。
極端な大雨から極端な乾燥にすぐに切り替わり、気候の振幅が大きくなるという気候変動が垣間見えます。(編集長)
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