湖城の窓から「気温上昇」
オーストラリアの気象庁(BOM)は、いまだエルニーニョ現象の発生を宣言していません。3日時点では、大気の状態が発生要件に完全には合致していないとして「警告」を継続しています。
一方で太平洋の海水温はすでに基準値を超えており、今後数週間でエルニーニョ現象の発生を宣言する可能性があるとしています。
実際のところ、宣言されるかどうかにかかわらず、オーストラリアでは最近気候の変化がみられます。タスマニア州では今年7月の気温が、7月として過去最高を記録。またBOMは、過去4週間のオーストラリア南部の都市の気温が平均を上回ったと発表しています。こうした現象は世界気象機関が先月末に発表した「7月の世界の平均気温が過去最高を更新する公算が極めて高い」という予想と合致しています。
今週号の記事にある通り、オーストラリアでは気温の上昇で小麦やカノーラの開花が例年よりも1カ月早い地域があります。ニュージーランドでも牛乳の生産ピークが大幅に早まっていますが、牧草の生育具合が関係している可能性もあるでしょう。
また、オーストラリアでは不規則な天候による需要の鈍化で肥料の在庫が減少。足元では販売を停止した小売業者も出たもようです。
オーストラリアで使われる肥料は約75%が輸入。大手サプライヤーは貨物船を増やし供給増加を目指していますが、少なくとも9月までは品薄との見方もあります。農業はタイミングが重要なので、気候の乱れによるわずかなずれが、生産に大きな影響を与える可能性も指摘されています。(編集長)
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