オセアニア農業の歩み「農業保護巡る両者の思惑」

今回のトップ記事では、オーストラリアと欧州連合(EU)の自由貿易協定(FTA)交渉が最終局面に入る中、農畜産分野を中心にオーストラリアで警戒感が強まっている現状を取り上げました。

EUの生産者も警戒を高めているようです。今年1月に合意したEUとインドとのFTAでも、牛肉や乳製品など主要農産品は対象外とされ、域内の生産者を重視する姿勢が鮮明となりました。オーストラリアとの協定案に対しても、フランスの農家を中心に強い反発が続いており、農業分野を巡る保護主義的な感情が交渉の足かせとなっています。

もっとも、こうした姿勢には一定の背景もあります。2023年に発効した豪英FTAでは、オーストラリア産牛肉の対英輸出が急増し、昨年10月末時点で1万4,000トンを超えて過去最高を更新しました。24年通年の6,296トンと比べると増加幅は際立っています。英国では、オーストラリア産高級牛肉が国産品より安価に流通する例もみられ、生産者の反発を招いています。EUの生産者も、こうした動向を警戒しているとみられます。

一方、今年に入ってから中国がオーストラリア産牛肉などにセーフガードを発動した例もあります。オーストラリアにとって、輸出先の多角化と安定的な市場確保は重要課題となっています。(本田)

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ウェルス編集部

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