オセアニア農業の歩み「乾く大地と食卓」

今週のウェルスでは、記録的な熱波や山火事、そして水価格の高騰がオーストラリア農業に与えている影響について取り上げました。オーストラリアの農業者は世界で最も変動の激しい気候条件下で農業を営んでいると言われており、その過酷さを再認識するニュースが相次ぎました。

最高気温が50度近くに達したビクトリア州では、土壌水分の枯渇と家畜用水の不足により、緊急のアジストメントが相次いでいます。加えて、農業用水の取引価格の高止まりは、トウモロコシなど水依存度の高い作物の生産を圧迫。これが飼料穀物価格を押し上げ、酪農家は厳しい決断を迫られています。

さらに大きな衝撃を与えたのが、国内最長を誇るマレー川の下流域の生態系が「絶滅寸前」に分類されたニュースです。灌漑農業の拡張と環境保全のせめぎ合いを象徴する出来事となりました。農業界からは、同流域はすでに国内で最も厳格な規制下にあるとし、農業の拡張申請における手続きの煩雑化を危惧する声が上がっています。

これまで灌漑農家は、水1メガリットル当たりの収益を最大化できる高収益作物へのシフト、さらに水依存度の高い米やコットンの作付け調整によって、水の可用性の低下に適応してきました。環境保護の進め方はその時々の政権ごとに濃淡がありますが、環境保護という大義の中で、食料生産の現場がどのような将来像を描くのか引き続き注視していきます。(本田歩)

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ウェルス編集部

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