オセアニア農業の歩み「追い風の裏にはリスクも」
今週のトップでは、トランプ米政権による対ブラジルの50%関税がもたらす影響について取り上げました。オーストラリアの牛肉輸出業界にとって千載一遇の好機に映ります。すでに記録的な輸出量となっている米国向けは、今後さらに膨らむ可能性が高くなっています。
しかし、この追い風の裏に長期的なリスクが潜んでいることも忘れてはなりません。2003年にオーストラリアがBSE(牛海綿状脳症)対策として導入した米国産牛肉の輸入停止措置は、今も継続されています。トランプ米政権がオーストラリアへの10%の追加関税を正当化する根拠の一つが、この輸入制限への「報復」です。米国への牛肉輸出がさらに増加した場合、トランプ政権の反感を買う恐れがあるのではないでしょうか。
一国への輸出拡大によって足元の売り上げが伸びる一方で、外交・貿易政策の変化で即座に市場アクセスが遮断される可能性は常に存在します。追い風の中でも、輸出先の多様化とリスク分散の姿勢が求められるでしょう。(本田歩)
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