オセアニア農業の歩み「事業継承も深刻に」
本日付のトップ記事で来シーズンの生産者乳価のオープニング価格について取り上げました。酪農は、オーストラリアで年間60億豪ドルを超える価値を生み出し、3万人以上を直接雇用しています。サプートやフォンテラ、ブラ・デアリーといった大手乳業各社が、生産者乳価のオープニング価格を相次いで引き上げたのは、現場の酪農家からの強い反発が1つの理由です。
ただ、それでも酪農家の不満は根強く、「これでは経営が成り立たない」との声が上がっています。しかし、課題は価格だけではありません。中長期的に見れば、家族経営の農場における事業承継が、酪農業の将来を左右する本質的な問題として浮かび上がっています。
若者の間では酪農を継ぐことに慎重な姿勢が強まっており、国内の酪農戸数は2015年の6,000戸超から23年には4,163戸へと減少しました。農家の高齢化も進んでおり、オーストラリアの農業経営者の平均年齢はすでに63歳に達しています。日本では、昨年全国の酪農家の数が初めて1万を下回りました。若い世代の離農が進み、後継者不足が深刻化している状況があります。隣国ニュージーランドでは、農場保有者の半数以上が今後10年以内に65歳を迎えるとされる一方で、正式に継承計画を進めているのは3分の1にとどまっています。
こうした構造的課題は、オーストラリアに限らず世界の酪農業に共通する深刻な懸念となりつつあります。このような酪農の持続可能性を巡る長期的な課題についても考えていきたいと思います。
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編集長コラム「オセアニア農業の歩み」2025年6月27日オセアニア農業の歩み「事業継承も深刻に」