オセアニア農業の歩み方「一次産品、どこにどう売る?」

トランプ米関税の影響などで、オーストラリアの一次産品の輸出は、「どこにどう売るか」という市場戦略の転換期を迎えています。ワイン業界はその象徴的な存在で、中国の高関税による打撃や米国の不安定な経済政策を背景に、日本市場でのブランド構築に注力しています。輸出量こそ減少傾向ですが、単価は上昇し、低価格帯ではなくプレミアム路線での勝負に舵を切る姿勢が鮮明です。

一方、日本市場ではオーストラリア産ワインは「手頃」というイメージがあるようで、今後この認識をどう打ち破っていくかが鍵になると考えます。

市場アクセスの確保を巡る課題は食肉業界にも及んでいます。EU市場では高関税と輸出枠によりオーストラリア産農産物の流通が制限されており、ニュージーランドに比べ不利な条件が続いています。こうした中、ファレル貿易相は牛肉・羊肉などの輸入枠の拡大を求め、2023年に中断されたEUとの交渉を再開します。EU側は以前、動物福祉要件を関税措置と結び付ける形で新たな障壁を設けたとされ、交渉の行方が注目されます。

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