湖城の窓から「加工業の役割」

今週のトップ記事は食品製造業を取り上げました。オーストラリアでは現在、食品を含むさまざまな製造業界が、連邦政府の支援策「フューチャー・メード・イン・オーストラリア」の適用を求めています。

製造業界は政府に対し、「政府の支援がなければ、インセンティブのある他国に製造部門は流出してしまう」と主張していますが、この主張は決して大げさではないようです。

オーストラリアはサプライチェーン(供給網)の上流に当たる原料供給は行うものの、加工製造は外資の手で行われる例も多く、現在では綿加工業界がその瀬戸際にあります。綿加工最大手ナモイ・コットンが穀物メジャーのルイ・ドレフュスやアジア最大級の農産物商社オラム・グループから買収提案を受けています。国内の製造業界は、ナモイの買収が実現した場合、「綿加工産業の大部分が、オーストラリアの管理下から離脱する」と危機感を表明しています。

製造加工産業は、サプライチェーンの川下で原材料に付加価値を付け、富を蓄積するという重要な役割があります。生体羊の海上輸出禁止も、動物保護の側面はありますが、食肉加工産業を国内に留め置くための措置でもあります。

自由市場主義から後退し、保護主義的な政策とする見方もありますが、連邦政府には適切な支援で産業の空洞化を食い止めてもらいたいと思います。(編集長)

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